"PRADA"
90's Sculptural tortoiseshell-effect embossed leather shoulder bag
1913年にミラノで創業し、研ぎ澄まされた知性と革新的な素材使いによってラグジュアリーの価値観を更新し続ける PRADA より、造形美が際立つ希少な逸品をご紹介致します。
深いカカオブラウンの外装へ亀甲を思わせる立体的な型押しを施し、ミニマルな横長のフォルムと力強い素材表現をひとつにまとめた、1990年代の PRADA らしい静かな前衛性を感じさせるこちらの逸品。

艶を湛えた型押しレザーの表面には、同心状に重なる細やかな凹凸が規則的に広がり、光を受ける角度によって黒に近い深みのあるブラウンから赤褐色、さらにブロンズを思わせる光沢までが繊細に現れる為、単色でありながら奥行きに富んだ表情をお楽しみいただけます。
認証カードに記された素材名称は TARTARUGA MORDO となり、外装に表現された亀甲状のエンボスと有機的な艶がその名称を視覚的に物語る一方、色名には CACAO と明記されていることから、PRADA が素材の質感と色彩を一体のデザインとして捉えていたことが伝わりますね。

バッグ本体は直線的な長方形を基調とした薄マチのフラップ型で、装飾を抑えた端正な輪郭が型押しの豊かな陰影を引き立て、コンパクトな設計ながらもアクセサリーのような存在感を備えています。また、ショルダーストラップと本体をつなぐダークカラーのリングパーツには滑らかな樹脂系素材が用いられていると見受けられ、レザーとは異なる硬質な質感を加えることで、クラシカルな意匠をモダンな造形へと昇華しています。

長めに設計されたショルダーストラップは脇へ自然に収まりやすく、横長のシルエットが身体のラインに沿って端正な印象を生み出す為、肩掛けした際にも過度なボリュームが出にくく、装い全体へ緊張感のあるアクセントを添えていただけます。フラップから側面へ続く構築的なラインも美しく、正面のみならず斜めや横から眺めた際にも完成度の高いフォルムを感じられる点が魅力です。

内装には PRADA のロゴとロープ状のモチーフを反復した織りジャカードがあしらわれ、外側の彫刻的な表情とは対照的に、ブランドの品格を伝える端正な仕立てとなっています。さらに、PRADA MILANO MADE IN ITALY と記された内装プレートに加え、型番 B6770、素材名称、色名、ミラノの販売店印を確認できる旧式の認証カードが残されている点も、アーカイヴピースとしての背景をより明確にする重要な付加価値と言えますね。
こちらは旧式の認証カードと内装プレート、ロゴ入りジャカードの仕様に加え、同型番および近接する型番の比較資料が1996年前後に見られることから、1995年から1997年頃に製作された個体と考えられます。機能的なミニマリズムと意外性のある素材表現が共存する佇まいには、1990年代半ばの PRADA が確立した知的で実験的な美意識が色濃く表れており、現行のコレクションとは異なる時代ならではのデザインを堪能できる希少なアーカイヴです。

ブランドロゴを前面へ押し出すことなく、質感と輪郭だけで PRADA と分かる完成度を備えている為、控えめなラグジュアリーを好む方はもちろん、ベーシックな装いへ一点だけ強い個性を加えたい方にも手に取っていただきたい逸品となっております。深いカカオカラーはブラックやチャコール、アイボリーといった日常的な色彩へ自然に馴染みながら、光沢と凹凸によってスタイリングを平坦に見せない点も大きな魅力です。
仕立ての良いジャケットとストレートスラックスに合わせれば端正なムードが際立ち、シンプルなニットドレスやロングコートへ添えることで、バッグの彫刻的な質感をより印象的に映していただけます。デニムや無地のカットソーといった軽やかな装いにも取り入れやすく、ジュエリーを控えめにまとめることで、このバッグならではのリングパーツとエンボスの美しさが一層引き立ちますね。
希少な型番と優れた造形、当時の仕様を伝える認証カードまで揃った、コレクションとしても日常の装いとしても長く愛せる PRADA のアーカイヴとなっております。是非この機会に。